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■ボロ布をつなぎ合わせた衣を糞掃衣ふんぞうえといいます。 ■糞掃はパーンスの音写です。 ■糞掃衣は、黄褐色に染められることが多かったようです。 ■「黄褐色の」を意味するカシャーヤの音写が袈裟けさです。 |
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お釈迦様が生きていた時代、ガンジス河流域にはいろいろな思想家が修行していました。彼らはどんな服装をしていたのでしょうか? 大麻の衣 ・ 混紡の衣 ・ 汚れ果てたボロ布・死者を包んでいた布 ・ 樹皮の衣 ・ 黒羚羊かもしかの革 ・ 草の繊維 ・ 木片の衣 ・ 頭髪で編んだ衣 ・ 馬の尾の毛で編んだ布 ・ フクロウの羽毛で編んだ布、などの衣を着ていた、といわれています。また全裸の修行者もいたようです。 お釈迦様は、このうち赤字で示した衣や全裸を禁止しました。赤字で示したような服装や裸は、人々に信仰心を起こさせるようなものではない、と考えたからです。
衣=袈裟けさは、捨てられたボロ布を拾い集め、継ぎ合わせて作られました。 ボロ布を拾う時には、洗っても汚れの落ちない布は避けます。きれいに洗うことが出来る物で、穴の開いていない部分を使います。 縫い方にもルールがあります。小片にしてパッチワークのように継ぎ合わせます。これは他に流用ができないようにして、衣に対する欲心を捨て去るため、盗難を避けるため、といわれています。 材質的には、6種、7種、10種などの定めがあり、木綿、麻、毛、などが多用されました。 インドでは絹も使われたようですが、中国では絹は蚕をたくさん殺すことになるので、衣を作る材料としては不適切、と考える人がいました。 一方で、絹だとか綿だとか、布の外見や素材にとらわれていては、ボロ布で作った衣を着る意味がない、という考え方もありました。
ボロ布で仕立てられた衣は糞掃衣と呼ばれます。 糞掃衣は、どのような経緯で捨てられた布か、どのような縁で入手したか、などで4種、5種、10種の分類があります。呼び方はお経によって多少異なります。 衣は当初、木の根や茎、葉、皮、花などを用いた染色で、質素な色合いでした。しかし中国や日本では、インドと異なり寒いので、重ね着をするようになります。インドでの衣は形式化して袈裟となり、だんだん華美となって、今日に至ります。 現在の日本では、ほとんど新品の布で作られますが、小片にして継ぎ合わせて作るところは、受け継がれています。 |
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