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現在日本で使われている袈裟けさは、古代のインドで出家僧が使用していた三衣の発展したものです。三衣とは大衣(重衣)上衣(上着衣)中衣(中着宿衣)の三種類の袈裟のことです。大衣は正装用で托鉢や王宮に招かれたときに着用します。上衣は修行用、中衣は日常生活に使用します。 袈裟は当初、糞のように捨てられたボロ布をつなぎ合わせて作ったところから糞掃衣ふんぞうえとも言います。現在日本で使われている袈裟は、新品の布で作りますが、この名残りでわざわざ小片にした布を継ぎ合わせて作ります。写真の帯状の布で飾られた部分がつなぎ目です。写真では分かりやすくするために、色違いの布を使ったものを取り上げましたが、一種類の布だけで作られるものもあります。 また現在でも、供養として遺品の着物や帯で袈裟を作ることもあります。 大衣は9ないし25の布片で作るところから九条衣(九条袈裟)上衣は七条衣(七条袈裟)中衣は五条衣(五条袈裟)といわれます。 |
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写真は現在日本で使われている袈裟の中で、古代インドで使われていたものに一番近い形式のものです。寸法は縦110センチ横190センチ位です。右肩を出すようにして、体に巻き付けるようにかけます。右肩を出すのは相手に敬意をあらわすインドの習慣です。 写真の袈裟は地蔵袈裟と呼ばれるものです。同様の形式で、材質、仕立て方、付属品の違いで、七条しちじょう大乗衣だいじょうえ如法衣にょほえなどと呼び方が変わります。 インドでは僧侶は袈裟一枚で生活していましたが、北の方へ行く程、寒い時期これだけでは寒さを防げないので、しだいに下衣をつけるようになりました。これが法衣の始まりです。法衣を着ることが通常の地域では、袈裟が象徴的なものとなり、形もいろいろなものが登場しました。 |
五条 |
折五条 |
輪袈裟 |
半袈裟 |
■五条 (ごじょう) 小布を数枚つないだ縦一列を一条と数えます。七条は七列、五条は五列です。肩ひも部分は威儀いぎといいます。 ■折五条 (おりごじょう) 五条を細長く折り畳んだものです。畳袈裟たたみげさ折袈裟おりげさともいいます。実際には五条そのものを折り畳むことは出来ないので、畳んではありますが、表面だけしっかりした生地で、中は薄手の生地になっています。日蓮宗系統ではこの袈裟を左肩からたすきの様にかける独特な使い方をします。 ■輪袈裟 (わげさ) 折五条を簡略化したものです。生地を畳まずに一つの輪に仕立ててあります。 ■半袈裟 (はんげさ) 輪袈裟をさらに略したものです。輪を半分にして紐で連結したものです。 以上が袈裟の基本的な形で、どこの宗派でもだいたい使われるものです。 天台宗や真言宗では袈裟の中に仏さまの種子を入れて仕立てます。そこで形は輪袈裟でも種子袈裟しゅじげさとか呪字袈裟じゅじげさと呼ぶこともあります。 ■結袈裟 (ゆいげさ) 修験道独特の袈裟で、九条袈裟の変型です。写真のものは梵天が付いているので梵天袈裟とも呼びます。修多羅しゅたらと呼ぶ飾り紐が付いている場合は修多羅袈裟といいます。宗派的には、天台宗系が梵天袈裟で真言宗系が修多羅袈裟を多く利用するようです。 ■威儀細 (いぎぼそ) 浄土宗系統で使われる袈裟で、エプロンのような形をしています。 ■絡子 (らくす) 威儀細に似た形で、片方に輪を付けた袈裟です。禅宗系統で使われます。 |
結袈裟 |
威儀細 |
絡子 |
袈裟の梵語はカサ−ヤで、汚濁色の意味です。日常は色とりどりのカラフルな袈裟を使いますが、修行中は装飾無しの地味な単色ものを使います。カーキ色の語源はカサ−ヤと言われています。 |
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