お  香

蘭奢待  伽羅  白檀
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お香の原料は主に植物ですが、動物質や鉱物も使われます。現在では香りが主体ですが、当初は薬用から出発しています。正倉院の名香木として有名な蘭奢待(らんじゃたい)は、目録では薬物に分類されています。
 香木として良く知られている名前は伽羅(きゃら)や白檀(びゃくだん)です。伽羅は沈香(じんこう)の最上品のことです。沈香はジンチョウゲ科の木が埋もれ、樹脂分の多いところが土中で腐らずに残った物です。香木と言っても木の全部がお香になるわけではありません。
 白檀は沈香とは異なり精油分が主体です。したがって木のままで良い香りがしますので、お香のほかに仏像などの材料としても使われます。

   ※薬効としては現在でも防虫や防腐に用いられているものがあります。
   ※貝甲
(かいこう)というアキ貝の蓋が調合の保香剤として使われます。

沈香
温度・湿度・土質などの条件により樹脂が化学変化したものですから品質は一定しません。一般的には木目が分かる程度で、黒色で油分の多いものを良品とします。伽羅はサンスクリットの音写です。伽羅木(きゃらぼく)伽藍木(からんぼく)伽南木(かなんぼく)棋楠(きなん)奇楠(きなん)などとも呼ばれます。また良質の香木を総称する場合もあります。

切葉
白檀の木を薄く輪切りにした物です。紙で包みタンスの中などに入れ、移り香を楽しむ為の物です。木目に対し直角に切っているので、少しもめば右下のようにすぐ細かくなります。分割や刻みのように焚く事も出来ますが、焚かずとも油分が多い所で作るため、常温で長期間十分に香ります。白檀に限らず、お香は低温の加熱でも香り、始めから終りまで、香りが変化しないものが良品です。

分割
白檀を木目なりに角割したものです。茶席など火種のある所で手軽に使うためのものです。直火ではなく、灰を少し介し、焚くというより、加熱する感じで使います。

刻み
いわゆるお焼香用のお香です。細かく刻んだお香を数種類調合してあります。5種類混ざっていれば五種香、9種類なら九種香と呼ばれます。一般的に数の多い方が上品です。現在では香り中心ですが、お護摩で使う焼香は、肉桂(につけい)薫陸(くんろく)丁子(ちょうじ)桂皮(けいひ)肉豆冠(にくづく)など薬用効果の高いものが定められています。

線香

お線香は香り重視のタイプと、実用品の2種類に大別されます。前者は椨(たぶ)を土台に沈香など香りの良い物を調合します。後者は杉の葉を原料とした杉線香いわれるもので、墓参など外で使われるものです。お線香には長さや太さが色々あり、時間を計るのにも使われます。

椨=クスノキ科の木。樹皮を使う。

丸香
粉末にしたお香を直径数ミリに丸く固めたものです。香り中心の物は火種のある灰の中で一粒づつ使います。お護摩用は一度にたくさん使うので、香りはあまり重視されません。

塗香
粉末にしたお香は、身を浄める塗香(ずこう)と主に火種にする抹香(まっこう)に分けられます。見た目はあまり変わりませんが、塗香は口に含む使い方もあるので、香りと共に上質の材料が使われます。抹香は比較的安価な物が使われます。

抹香で火種を作る

均した灰の上に型を置き、溝の部分に抹香を入れる。

 

溝に詰めた抹香を押し固める。固め具合で多少時間の調節ができる。基本的には、線の長さで時間調整します。 固め終わって、型をはずしたところ。
香炉が小型なら一回で、大きい物は同じ型を数回繰返す事で線が1本につながるように、型がデザインされています。香りを良くしたいときは、抹香の線の上に刻みのお香を乗せます。点火はお線香で行います。

お香は煩悩を去り心を清浄にします。
お香の煙は仏さまの食べ物を意味します。
お線香の炎は手などであおいで消します。仏様にお供えするものですから、口で吹き消さないで下さい。
お焼香は、仏様や亡くなられた人にお香を供えることですから、持参するのが本来の形です。
香典は「このお金でお香をお供えして下さい」という意味です。「典」は以前「奠」の字を使いました。奠には「供える」という意味があります。

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