雲  版

うんぱん
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雲版は、楽器が変化して時刻を知らせる仏具になった、といわれています。
雲版は、庫裏くりや斎堂さいどう=禅寺の食堂の前に懸けられています。
雲版は、雲板と書かれるときもあります。

雲版

 三六声連打

禅寺では、合図にいろいろな鳴らし物が使われます。そのひとつに雲版と呼ばれる物があります。唐金や鉄製の板で、大きさは幅60cm位、厚さ1cm位です。雲の形をしています。鳴らすときは木槌で打ちます。

雲版は主に食事の用意ができたことを知らせるのに使いますが、起床の合図や座禅をやめる合図などにも使われます。回数やタイミングなどは、そのシーンによって定められています。

食事の合図は長く穏やかに連打します。この鳴らし方を長版ちょうはんといいます。長版を聞いて、僧は鉢盂はつう=食器を所定のところより下ろすので、長版のことを下鉢版あはつはんともいいます。

また、ご飯が炊き上がり、火を消すのを見て鳴らすところから火版かはんという呼び方もあります。

 火の用心

雲は雨を降らすので、雲の形をした雲版には火を鎮める、という意味があります。

食事を造る場所は火を使うので、火の用心には細心の注意が必要です。そこで火事が起きませんように、という願いをこめて雲の形をしています。

 神棚の雲板 

神棚に付いている波状に形取られた幕板も雲板と呼ばれています。こちらも同じく雲をイメージして作られたものですが、意味合いが少し異なります。

神様をお祀りする場所は、清らかな場所でなくてはなりません。そこで建物のどの階であっても、この棚の上には何もありません、天界に続く場所です、と言うことで雲形の板が取り付けられます。

雲板の代わりに、紙に雲・天・上などの文字を書いて、神棚の真上の天井に貼る方法もあります。紙を貼ってこの上には何もない、と観想する方法は、仏壇でも行われることがあります。

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