ジャータカ物語

前世の物語
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ジャータカ物語は、お釈迦様の前生を説く物語です。
お釈迦様は前世で、いろいろなものに何度も生まれ変わっています。
物語は、現在世物語・過去世物語・結び、という3要素から成り立っています。
作者は明確ではありません。

 ジャータ 生まれた

ジャータカはジャータ=生まれた、という過去分詞から、お釈迦様の過去の出生に関する話、というような意味になります。

輪廻転生は、インドに古くからあった思想で、善い行いをして次に生まれる時は、より良い世界に生まれて善果を得たい、というのが古代インド人の理想でした。

したがって、お釈迦様ほど優れた人は、当然前生において善行が多かったはず、と考えられ色々な前世の話が生まれました。

 色々なものに輪廻転生

輪廻転生をくり返す中で、お釈迦様は人間ばかりではなく、いろいろな動物や鬼神などにも生まれ変わりました。

例えば人間ならば、国王・大臣・長者・バラモン僧・商人・盗賊など、動物ならば象・鹿・猿・兎・鳩・孔雀・魚などです。

何に生まれ変わっても、その時々に応じて生きとし生けるものを救った、という善行の話がジャータカ物語です。それぞれの話は○○ジャータカと呼ばれ、話全体を総称してもジャータカと呼ばれます。

ジャータカ物語は、本生話ほんしょうわとか本生譚ほんじょうたんと訳されます。経・律・論の三分類では経蔵に収録されています。

 多彩な内容

南伝仏教のジャータカ物語には、547の話が収められています。ジャータカ物語の多くは、品格ある童話としても高く評価され、イソップ物語やアラビアンナイトなど、世界各地の文学に影響を及ぼしています。

日本では、今昔物語、宇治拾遺物語、古今著聞集、宝物集、沙石集などに影響しました。

ジャータカ物語の多くは、紀元前3世紀頃インドの民間に伝わる伝説やお伽話を題材として、仏教的な色彩を加えて作られたもの、といわれています。

したがって、教訓的な話や道徳的な話ばかりではなく、一部に当時の世相を反映した、と思われるような不道徳な話や卑俗的な描写部分もあります。

ジャータカ物語は、絵画や彫刻の題材としても好んで用いられました。日本では法隆寺の玉虫厨子の壁面の絵に採用されているのが有名です。

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