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■仏教の二大流派。 ■限られた出家者だけの小さな乗物=小乗=南伝仏教(上座部仏教) ■あらゆる人々の救いをめざす大きな乗り物=大乗=北伝仏教。 |
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お釈迦様が亡くなって100年位たつと、教えの解釈などをめぐって、伝統を守ろうとする保守的なグループと、進歩的なグループに二分されます。そして時とともに更に両派は分化します。 そのような中で大衆的な一派として、大乗と呼ばれるグループが誕生します。当初は他派から色々と迫害を受けたり、拠点を移動しなければならないほどの弱小グループでした。そして、大衆的であろうとした為に、ヒンドゥー教の要素もかなり取り入れられました。
伝統的で保守的なグループを小乗として、対照的に新しい大衆的なグループを大乗と呼びました。サンスクリット語ではヒーナヤーナ=小乗とマハーヤーナ=大乗です。 マハーヤーナは、摩訶衍まかえん摩訶衍那まかえんななどと音写します。立派な乗物、大きな乗物、という意味です。 乗物は、迷いの多いこちらの岸から悟りを得た彼の岸へ、人々を運ぶ働きを表します。偉大な教え、優れた教え、という意味もあります。
大乗がいつごろ誕生したのか、はっきりしません。紀元前後もしくは1〜2世紀ごろ、と言われています。書物の上に大乗の言葉が登場するのは、道行般若経どうぎょうはんにゃぎょうがはじめてです。 摩訶衍那という、大乗を示すサンスクリット語の音写が登場します。漢字に翻訳された年代から逆算して、西暦150年以前の作と言われています。 道行般若経には、他派に対する大乗の優越性が書かれています。
小乗では、資質のすぐれた者のみが修行をすることによって悟りを得られる、としていました。修道団的な生活を守り、お経の解釈を固定化し、戒律の条文も不変のものにしました。自分自身の悟りの為に、教えを厳格に守りました。 小乗では経律論の三蔵がはっきり別れているので、天台宗では小乗を三蔵教とも呼びます。 大乗では、お経の表面的な意味だけではなく、裏にある真意を探ろうとしました。また皆のために教えを守り、皆の為になることは自分の為にもなる、という自利・利他の考え方を展開しました。 阿含経あごんぎょう四分律しぶんりつ五分律ごぶんりつ婆沙論ばしゃろん六足論ろくそくろん発智論ほっちろん倶舎論くしゃろん成実論じょうじつろんなどは小乗の経典です。 般若経、法華経、華厳経、中論ちゅうろん、摂大乗論しょうだいじょうろん、などは大乗の経典です。
インドの大乗には中観ちゅうがん、瑜伽ゆが、密教。中国では三論、涅槃、地論じろん、浄土、禅、摂論しょうろん、天台、華厳、法相、真言など、いろいろな派があります。日本では、現在の仏教はほとんど大乗の一派といえます。 |
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