落語の祖

落語の祖 安楽庵 策伝 あんらくあん さくでん
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説法するにあたって、面白おかしい小噺を織り交ぜていた、策伝さくでんという僧侶。
策伝の書いた醒睡笑せいすいしょうは後に落語の種本となりました。
そして策伝は落語の祖と呼ばれるようになりました。

 醒睡笑 せいすいしょう

醒睡笑は、京都所司代の板倉重宗から依頼を受けて1615年から9年程かけて、策伝という浄土宗の僧侶が書いた笑い話集です。

若い頃から説教の題材としてメモしておいた話1,039話が掲載されています。眠りを覚まして笑う、の意味で醒睡笑と名づけられました。

どの話も2〜3行から1ページ強の短い文章で、分かりやすそうなのですが、時代の違いか、眼の付け所が違うのか、意味の分からない話もあります。

お説教の種本なので、笑い話ばかりでなく教訓的な、まじめな話も入っています。

第一巻の中に出てくる次の話は、分かりやすく有名な話です。

小僧が、夜更けに長い竿を持ち出し、庭中あちこちで振り回していた。住職がこれを見つけ、
 
「何をしている」
 
「はい、星が欲しくて落とそうとしているのです」 
 
「頭を使え。そこからでは竿が届かないだろう、屋根へ上がれ」 
これは原文ではありません。今風に書き換えています。原文をご覧になりたいお方はこちらをご覧下さい。34ページです。(リンク先は国立公文書館デジタルアーカイブです)

 落語の祖 安楽庵 策伝 あんらくあん さくでん

醒睡笑は落語に強い影響を与えたので、著者の策伝は落語の祖と呼ばれています。策伝は難しくなりがちなお説教を面白おかしく小噺を織り交ぜ、分かりやすくまた親しみやすく説教していました。

策伝は、7歳のとき岐阜県浄音寺で出家し、11歳で京都に出て浄土宗西山流を学びます。25歳頃から約15年間、山陽地方で活躍し、60歳のとき京都の誓願寺法主に就任しました。

古稀を迎えると誓願寺の境内に隠居所として竹林院を建て、そこの庭に建てた茶室「安楽庵」で余生を送りました。安楽庵策伝という呼び名はここから出ています。

茶人としても有名で、1642年89歳で亡くなりました。

 仏教と深い関わりを持つ落語 

落語の世界では手ぬぐいを曼陀羅まんだらと呼びます。なぜこのように呼ぶのかよく分かりませんが、高座や前座の名称は明らかにお説教から来た言葉です。

噺の種には仏教と関係が深いモノがたくさんあります。中でも特に有名なのが、こんにゃく問答、寿限無じゅげむ、野ざらし、などです。

こんにゃく問答は、専門的な単語がたくさん巧みに織り込まれていて、仏教関連の噺としては最高水準の傑作といわれています。作者は、俗に托善正蔵と呼ばれる禅僧出身の噺家とされています。

上方落語には浄土系の噺が多く、江戸落語には法華系の噺が多いといわれています。これはそれぞれの宗祖の活躍の場と関係があるようです。

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