僧侶呼名
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日常、僧侶を呼ぶ場合、住職とか和尚が良く使われますが、宗派によって呼び方がちがいます。また漢字は同じであっても読み方が異なります。

 住 職

住職は住持職の略で、おを守るための住み込み専従僧侶です。お寺の代表者を指します。現在では、お寺が宗教法人であれば法律的な立場は代表役員となります。宗派によっては、庵主あんじゅ住持などとも呼びます。

 和 尚

和尚は梵語のオッジャーの音写で、意味は先生または師匠です。人々に接して教えを説く僧を指します。天台宗では「かしょう」、浄土宗・禅宗系統では「おしょう」、真言宗・法相宗では「わじょう」と読みます。律宗では発音は同じ「わじょう」でも鑑真和上のように和上と書きます。浄土真宗では使わない呼び名のようです。

 聖人  上人

学問と徳を兼ね備えた人、の意味です。日蓮宗でよく使う呼び方です。日蓮は大聖人、日蓮大聖人の六人の高弟は聖人、普通のお寺の住職はお上人と呼ばれています。真宗系統でも、親鸞聖人のように聖人を使い、上人よりも格が上と考えます。

 大 師

大師は偉大なる師、の意味で朝廷から高僧に与えられた称号です。日本で初めてこの称号を受けたのは、天台宗の最澄=伝教大師と円仁=慈覚大師です。866年のことです。大師といえば弘法大師の名が有名ですが、大師の称号を受けた僧はたくさんいます。宗派の開祖では日蓮宗の日蓮=立正大師、浄土宗の法然=円光大師、浄土真宗の親鸞=見真大師、曹洞宗の道元=承陽大師などです。

 国 師

大師に比べるとあまりなじみのない称号ですが、一国の天子の指南役(国の師)の意味です。大師同様、朝廷から与えられます。禅宗系統の僧侶に多いようです。

 入 道

入道は天皇などが仏門に入った場合に使う尊称です。後に武士で仏門に入った人をこう呼ぶようになりました。

 三 蔵

固有名詞のように思われるかも知れませんが尊称です。経・律・論に精通した人をいいます。
西遊記に登場するのは、玄奘三蔵法師です。

 菩 薩

本来は仏の道を修行している人をいいます。それから発展して仏様のように完成された人を○○菩薩と呼びました。よく知られているのは東大寺の大仏を造った行基菩薩です。

 阿闍梨

阿闍梨あじゃりは僧侶になるための修行の師となる高僧を指します。天台宗や真言宗で使われる呼び方です。 

 老 師

阿闍梨と同様、指導する立場の僧の尊称です。禅宗系統で使われる呼び名です。年令には関係ありません。またその立場になくとも、手紙などで宛名の敬称として使われることもあります。師家しけや禅師ぜんじも老師と同様の意味です。

 最高責任者

宗派の最高責任者の呼び名はさまざまです。貫首かんしゅ管主かんす管長かんちょう長吏ちょうり門首もんしゅ門主もんす座主ざす院主いんしゅ化主けしゅなどがあります。門跡寺院では住職に相当する立場の僧を門主ともいいます。真宗系統では住職を院主と呼ぶ場合もあります。

 門 跡

門跡もんぜきは初め開祖の教えを継承する中心的な立場にある寺を指しました。後に皇族から僧侶になった人が代々入る寺を指すようになりました。
江戸時代には幕府によりかなり制度化され、宮門跡、親王門跡、摂家門跡、清華門跡などに分けられました。現在ではこの制度はなくなり門跡の名称のみが使われています。

 比 丘

比丘びくは男性の僧侶を指します。女性の場合は比丘尼びくにといいます。

 行 者

僧侶としての資格の在る無しにかかわらず、行をしている期間は行者です。日常的には、正規に得度をしていない人、あるいはときどき本業の合間に僧侶のような仕事をする人を指します。ただし修験道の開祖、役小角えんのおづぬのみ役行者えんのぎょうじゃと行者が尊称になっています。

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