|
|
■十八物じゅうはちもつは、修行僧が持つことを許された生活道具。 ■仏道修行の用具、が道具の語源。 ■最小は三衣一鉢さんねいっぱつ。略して衣鉢いはつと言います。 |
|
修行僧は俗世間の欲望を断って、簡素な生活をすることが原則です。したがって個人の所有物は限られていました。一般に三衣一鉢と言われ、三種類の衣類と、一個の鉢だけが持つことを許されました。三衣にはいろいろな呼び方があります。太字はサンスクリット語の音写です。 僧伽梨そうぎゃり=大衣だいえ、重衣じゅうえ、雑碎衣ぞうさいえ、高勝衣こうしょうえ、九条衣・・・正装用で袈裟の原型と言われるものです。 女性の場合はさらに、腋わきや胸を覆う覆肩衣ふげんえと水浴衣を持つことが許されました。三衣+2=五衣といいます。 鉢は托鉢たくはつの際に布施ふせ=主に食物を受ける食器です。鉄製、陶製、木製、匏ひさごの四種類があり、材料、色、容量などが決められているので、応量器おうりょうきとも呼ばれます。
三衣一鉢に、座具ざぐと漉水嚢ろくすいのうを加えたものが六物ろくもつです。 座具は坐具とも書きます。サンスクリット語の音写で尼師壇にしだんとも呼ばれます。座ったり寝るときに使う長方形の敷物です。 漉水嚢は水を使うときに、水中の虫を殺さないため、水をこす袋です。虫がいれば虫は元へ返します。 いずれも形、大きさ、材質など細かい決まりがありました。
十三資具衣までは上座仏教で定められた持ち物です。名称はいずれもサンスクリット語の音写です。 1.僧伽梨そうぎゃり 2.温咀羅僧伽うたらそうぎゃ 3.安咀婆娑あんだばしゃ 4.尼師但那にしたな 5.泥伐散那にばさな 6.副泥伐散那 7.僧脚欹迦そきゃきか 8.副僧脚欹迦 9.迦耶褒折那かやほしゃな 10.木法褒折那もきゃほしゃな 11.鷄舎鉢羅底掲喇呵けしゃはらちからか 12.建立鉢喇底車憚那けんどはらちしゃたな 13.髀殺社鉢利色迦羅びさしゃはりしから 1〜3は三衣。4は敷物。5は裙くん腰巻のようなもの。7は前出の覆肩衣。最初は女性だけでしたが、後に男性にも許されます。9は身体を拭く手ぬぐい。10は顔用の手ぬぐい。11は剃髪の時の衣。12はできものを覆う布。13は薬が必要なときに薬と交換するための布。 9、10、13は、沐浴用の布、雨具、資具を覆う布、になっている場合もあります。
中国や日本では、気候や風土がインドとは異なるので、持ち物の数が増え、大乗仏教では十八物になります。三衣はまとめて一つと数え、六物に以下の14点が増えます。十三資具衣はいずれも衣か布でしたが、十八物になるとかなり多岐にわたります。 ●楊枝ようじ 歯ブラシ用。直径1cm位の楊の枝を刷毛のように割いたもの。 経本と戒本、仏像と菩薩像、をそれぞれ一つにまとめ、三衣は三つとして数え、12点+六物で十八物とする場合もあります。また、楊枝と澡豆を除き、三衣を三つとして数える場合もあります。 |
(C) Copyright 2013 Tobifudoson Shoboin.All Rights Reserved. | |