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■権かりに神様となって現れた仏様。権現ごんげん。 ■神様=仏様? ■神様に変身しているときの呼名が○○権現。 ■権現に対し、元となる仏様は本地仏ほんじぶつと呼びます。 |
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神様と仏様との関係を説くために、考え出された理論が本地垂迹説です。天台宗の開祖、天台智者大師が法華経を解釈するとき、本門ほんもんと迹門しゃくもんとに分けた方法に由来する、と言われています。 神様の本来の境地=本地は仏様と同じであり、人びとを救うために仏様が神様に姿を変えている=垂迹した、という考え方です。 神仏習合思想の発展とともに生まれた本地垂迹説は、平安時代の中頃から始まります。そして、鎌倉時代の中頃になると、逆に神道を優位に置いた、神本仏迹、神主仏従の反本地垂迹説も登場します。
本地垂迹説に基づいて、たくさんの神様が仏様と関連付けられました。○○権現ごんげんと呼ばれる名称がそれです。八幡大菩薩のように菩薩と呼ばれる場合もあります。 権は一時的な、かりそめの手立て、という意味です。権化、権者、権迹ごんしゃく、応現おうげん、化現けげん、示現じげんなどと呼ぶときもあります。 宗派、地域、時代によって多少設定に相違があります。概ね修験道、天台宗、真言宗などの思想から生まれています。
権現を祀るところを権社といいます。それ以外の神様を祀るところを実社といいます。 権社の神=権化神ごんけしん、実社の神=実類神じつるいしんという呼び方があります。 権化神は天照大神あまてらすおおみかみを頂点とした民族の神様で、実類神は自然霊、生霊いきりょう、死霊しりょう、動物霊などの民俗の神=自然神です。
神様の融合だけでなく、建物にも影響しています。寺院建築の要素を多分に取り入れた神社建築を権現造といいます。 社殿は本来、単純な構成を特徴としますが、権現造は本殿と拝殿を石間いしのまと呼ばれる建物でつないだ形をしています。外見は装飾過剰気味が権現造の特徴です。 桃山時代から始まり、東照宮や北野天満宮が代表的な権現造です。また本地垂迹説は、美術の面でも影響を残しています。
徳川家康の東照大権現や、藤原鎌足の談山権現たんざんごんげんは仏様や菩薩の権現とは異なります。 家康は1617年に御水尾天皇から、鎌足は926年に醍醐天皇から賜った諡号しごうです。 |
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