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■仙人は、道教で理想とされた修行者です。 ■老いても死なないことを仙といいます。仙人は不老不死の人。僊人とも書きます。 ■僊は、舞う、上昇、などの意味を持ちます。 |
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仙人は、はじめ神様の一種とされ、祭ごとやご祈祷などと、密接な関係を持っていました。しかし後に、山に入って自力で不老不死の術を行う人、を意味するようになります。 仙人は中国だけのものではなく、インドにも似たような存在があります。初期の仏教では、お釈迦様や修行者も、仙人とした時期があります。お釈迦様を偉大なる仙人=大仙とか、金仙こんせん、黄金の仙人、金仙人、などと表しました。
道教では、修練の方法によって、ランクが生じる、と考えられました。天空に昇る天仙、名山に遊行する地仙、いったん死んだうえで仙人となる尸解仙しかいせんの三種類です。 仙人は亡くなると、死体を残さないと言われます。別の言い方をすると、不老不死の術を得た修行者が、死んだように見せかけて肉体から脱出し、肉体は消滅させて、仙人になります。 また不老不死とはいいますが、限度があるようです。通常、数百年から千年が寿命のようです。
毛竪という仙人が、奈良県吉野にある竜門岳に住んでいました。ある日、竜門岳から葛城山へ向かって飛行中、久米川で洗濯をしている若い女性の足に心を奪われ、飛行術を失い落ちてしまいます。このことから、毛竪は久米の仙人と呼ばれ、好色者の代表のようになりました。 毛竪は、この女性を妻に迎え、俗人として暮らします。東大寺建立の時には、人夫として働きました。ところが、元仙人ということが分かり、仙人の術で山から木を運ぶように命じられます。道場にこもり、断食をして祈ったところ、八日目に大きな材木が、たくさん空を飛んできました。 このことによって、人々は久米の仙人を敬うようになり、天皇からは土地が与えられました。この土地に建てた寺が、奈良県の久米寺です。
女性の仙人もいます。いつまでも若くて美しく、年は取らないのですが、なぜか通常は老翁の姿です。吉野の古い仙人話に、次のような話があります。 猟師が吉野川で漁をしていると、上流から柘の枝が流れてきました。それを拾い上げると、柘の枝は美しい女性になり、猟師はこの女性と結婚しました。以来、二人は老いることはなく、その後、天の羽衣をつけて、不老不死の国に旅立ちました。 古来は女性の仙人が活躍し、後に男性の仙人が多く登場します。女性の仙人は、山の女神が人間の姿になって現れた、との考え方もあります。
修験道の行場になっている大峯山や葛城山には、たくさんの仙人が住んでいて、大水で川を渡れないとき助けたり、道に迷ったとき導いたり、薪に火を着けたり、と修行する人を助けた話が、いろいろ残されています。 修験者は仙人に助けられたり、師事したりして、自分も仙人になる場合があります。 そして、役行者の両親の供養会には380人の仙人が集まった、と伝えられています。 |
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