勧進

かんじん
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勧進は、仏様と結縁のキッカケ。
勧化、勧財、勧募などともいいます。
浄財に限らず、労力の場合もあります。
勧進は僅かな浄財を募ることが多いので、賛同者を多く集めることが大切にされました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 入門の勧め

仏教の教えを説いて、善の道に導くことを勧進といいます。一般的には具体的な行動として、おの建設や修理のため、浄財を集めることをさします。善行に縁を結び、善い因縁を積むことを勧めます。

勧進はお寺の建物に限らす、橋や道路などの建設もありました。奈良時代の僧侶、行基ぎょうきの行った土木事業は有名です。

中世のお寺は、庄園や領主など大スポンサーを失い、自らの手で修理費を集めなくてはならなくなり、勧進活動が活発になりました。

 勧進帳 かんじんちょう

勧化帳かんげちょうともいいます。お寺の縁起、霊験、寄進の功徳、寄進を募る経緯や趣旨、などを書いた帳面を勧進帳といいます。時には皇族や有名なお公家さんに書いてもらうこともありました。

人々の心を動かす、美しい文章が書かれました。当初は漢文体で、後にカナ混じりの文が登場します。

歌舞伎の勧進帳では、弁慶は何も書いてない巻物を勧進帳に見せかけ読み上げます。歌舞伎の勧進帳は、義経と弁慶が山伏やまぶしに変装して関所を通過する話です。

 勧進聖 かんじんひじり

勧進のために全国を回る専門職を、勧進聖とか勧進上人といいました。印刷の発達した現在とは異なり、勧進帳=趣意書は配布より、いろいろな所で読み上げられました。

したがって、内容もさることながら、読み方や声の響きなども、浄財を多く集める重要な要素となりました。人を感銘させる読み上げ方は、芸能へとつながります。

また、女性の勧進聖もいて、勧進比丘尼かんじんびくにとか熊野比丘尼くまのびくに歌比丘尼うたびくにと呼ばれました。女性の場合は絵を使って説明するなど、ビジュアル的な勧進活動を得意としました。

 勧進元 かんじんもと

勧進の方法が多岐にわたり、勧進の下請け組織が登場し、勧進相撲、勧進歌舞伎、勧進能、勧進猿楽などが行われるようになりました。

芸能関係者が下請けとなって興行を開催し、収益を寄進したので、主催者を勧進元と呼びました。後に寄進ではなく単なる興行でも、興行主を勧進元と呼ぶようになります。

 御免勧化 ごめんかんげ

御免勧化は幕府から免許状をもらい、寄付を集める方法です。この許可を得ると、行き先で馬や人足を無料で利用できたり、場合によっては寄付の割当や代行収納があったり、いろいろ優遇されました。

それに対し、相対勧化あいたいかんげと言うものがありました。こちらも幕府の許可を得た勧進ですが、特別な優遇処置はなく、怪しい者ではない、という証明的なものでした。当時も名前を騙った、詐欺的な勧進があったようです。

ただ、いずれにしても各村で集まる寄進額は、思いのほか少なく、旅費と相殺されてしまうこともあったようで、この点では現在と変わりないようです。

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