なで仏

なでぼとけ おびんずるさん 
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なで仏と呼ばれるおびんずるさん=賓頭盧尊者びんずるそんじゃ
お釈迦様の弟子の中で、獅子吼ししく第一と呼ばれた卓越した神通力の持ち主。
16羅漢の一人です。

賓頭盧尊者
びんずるそんじゃ

 おびんずるさん   

おびんずるさんは16羅漢の一人で、サンスクリット語では
ピンドーラ・バーラドヴァージャといいます。
漢字で音写すると
賓頭盧 頗羅堕 びんずる はらだとなります。
賓頭盧が名で、頗羅堕が姓です。

お賓頭盧びんずるさんは、獅子吼第一と呼ばれ、神通力=超能力がとても強い人だったと言われています。

ある時、お賓頭盧さんは人のすすめに乗り、神通力を使って座ったまま高いところにある栴檀せんだんの鉢を取って見せました。

このことを知ったお釈迦様は、修行者らしからぬ行いをした、と叱責されお賓頭盧さんは退けられて閻浮提えんぶだいを去り、西牛貨洲さいごけしゅうに移り人々を教化したと言われます。

また、次のような話もあります。
正法しょうぼうが尽きるまで涅槃ねはんに入らぬように、とお釈迦様から命じられ、摩梨山まりせんに住み人々の教化に務めた。国王や長者たちは、お賓頭盧さんによく食などの供養をした。

 食堂から外陣へ  

お賓頭盧さんは優れた人だったので、中国では470年頃から聖僧として、お参りされる対象となり、しだいにお食堂じきどうに祀られるようになりました。

日本では食堂から、いつのまにか本堂の外陣げじんや回廊に祀られるようになり、病んでいる場所と同じ所をなでて治す、と言うような風習が出来上がりました。

お賓頭盧さんは木像が多いのですが、たくさんの人がなでるので、像はピカピカに磨かれて銅像のように見えたり、中には表情がほとんど分からない程、磨耗している像もあります。

また、お賓頭盧さんは病気を治すだけではなく、亡くなった人を供養する役割や、厄払いの役割を担っています。

 金箔を貼って・・・  

現在では、患部と同じ所をなでて治るように祈りますが、当初は紙でお賓頭盧さんをなで、その紙で自分の患部をなでていたようです。直接なでるようになったのは、江戸時代中頃からのようです。

このなで仏の原型とも思えるような話が、大唐西域記の一番最後の部分、瞿薩旦那国くさたなこくの紹介の中に登場します。

栴檀の木で造られた高さ6m程の仏像があり、たいへん霊験があって光明を放っていました。この仏像に患部と同じ場所に金箔を貼ると、すぐに病が治る、とされていました。

そして、この仏像を崇拝した羅漢さんや、その羅漢さんが困った時、食物を与えた親切な人達がいたこと、その親切な人達は、羅漢さんの予言で災いを避けることが出来たことなど、仏像→羅漢さん→お賓頭盧さん、食に困らない、災いを除く、病を治すなど、何かつながりを感じさせる話です。

大唐西域記
だいとうさいいきき

玄奘げんじょう三蔵法師が皇帝の命により作ったインド旅行記。全12巻。

巻1…34ヶ国 巻2…3ヶ国
巻3…8ヶ国 巻4…15ヶ国
巻5…6ヶ国 巻6…4ヶ国
巻7…5ヶ国 
巻8〜巻9…1ヶ国 
巻10…17ヶ国
巻11…23ヶ国
巻12…22ヶ国 の計138ヶ国について紹介されています。

金箔の仏像の話は、巻12に登場する22ヶ国中の一番最後に出てきます。

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