得   度

年分度者 ねんぶんどしや
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白い着物を着ている人達が、得度をする人。右端の物陰()になっている後ろ向きの人物が戒師。他の僧侶は、式の進行を助ける人と立会人。

得度(とくど)とは仏教信者が仏門に入ることです。今日では僧侶になる第一歩の儀式として位置付けられています。宗派によって多少の相違がありますが、だいたい10才位から得度をすることが出来ます。

基本的にはお釈迦様の弟子になるわけですが、実際にいろいろなことを学ぶ為、自分が師と仰げる人の弟子にしてもらいます。得度する人を得度者といいます。略して度者とか度人と呼ぶこともあります。

得度式ではまず剃髪(ていはつ)し、「お釈迦様の教えを守って生活します」と仏様と約束をします。守るべき約束ごとは戒律といいます。

戒を授ける人を戒師(かいし)といいます。戒師が得度式を行う中心人物です。ここで僧侶としての名前も授けられ、得度をした証明書(度牒どちょう)が渡されます。そして袈裟などの授与も行われます。

昔の得度は今と少し雰囲気が異なります。

年分度者と言う人数制限がありました。律令制の時代のことです。当時僧侶になることは国家公務員になることに等しかったので、得度に政府の許可が必要でした。また当時の得度は試験のような性格もあり、戒律を学んでから得度という試験を受け、合格すれば僧侶になれる、と言った具合です。

はじめは年に数人程度でしたが、一度に100人から1,000人もの大量得度が行なわれた時代があり、僧侶の資質が低下したこともあります。武家政治の時代になると公務員的性格は薄れ、得度は政府の管理から各宗の本山に一任されるようになります。

また律令制の頃は、得度は前記のような公的なものと、私立出身のような私度僧に分けられます。最澄と空海はそのよい例です。最澄は公的な得度僧なので国費で中国に渡りました。空海は私度僧なので私費で中国に渡りました。国費留学は期間が一年と定められていたのて、最澄は一年で帰ってきましたが、空海は自由な立場だったので約3年間滞在してきました。

※真宗系統は在家仏教ですので得度を出家とは考えません。

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